日本の機台腰機(イザリ機)の技術再興プロジェクト

続・手織機の研究 前田亮 著より
日本で使われてきた機台腰機=いざり機の復活とその技術の再興を図ります。
東北地方で使われてきた 地機、いざり機、腰機とよばれた機台付腰=機いざり機は現在、結城紬などの一部でしか使われていいません。経糸を腰に結び、自分の人体を機の一部として織る腰機は環太平洋地域に昔から存在しました。この腰機に機台をつけて能率と品質向上を図るためにフレームを作ったものを機台腰機、もしくは天秤腰機といいます。日本、朝鮮、中国に見られるものです。
今回、数十台の腰機が廃棄される危機に陥りました。篤志家が自費でこの機を引取、倉庫に預かってくださることとなりました。しかし、そのまま置いているのではやはり、粗大ごみの運命です。この機を救い、活かしながら、日本における腰機の復活と、技術の再興を図りたいと思います。
腰機ワークショップ開催時期
来年2月、3月の連休を挟んだ3日~4日間ぐらいを予定します。
諸事情で詳細発表が遅れます。来年3月から開催できればと思っています (2020年12月16日)
ワークショップ開催場所
大井川葛布工房(静岡県島田市金谷泉町5−1)
東京での開催、鳥取での開催も計画中です。
ワークショップ受講料金
宿泊費 食事代 別途
ワークショップ内容
腰機の歴史、メカニズム等座学
腰機の機支度(整経、経巻、綜絖つくり、筬通し 前付け)
腰機の織
機台腰機を一人で使えるようにします。
ワークショップ募集人数
一回に5名
織機譲渡
腰機ワークショップ参加者の内、希望者には機台腰機を斡旋します。
機は無償ですが、プロジェクト協賛金、倉庫保管費等 5万円以上をお願いしたいと思っています。織り機運賃は別途です。(未定)
織り機の譲渡は 博物館、大学、研究施設を優先します。
ご了承ください。
腰機ワークショップに参加されない方にも譲渡をします。プロジェクトの趣旨に賛同でき、腰機を修理し、今後継続的に使用できる方に限ります。
プロジェクト、ワークショップ詳細の発表
2021年1月を目処に大井川葛布ウェッブページ、SNS等で発表します。
事前登録された方には優先的にお知らせします。
現在諸事情1月発表が難しくなりました。ご了承ください。2020/12/16
事前登録
住所 氏名 メールアドレス 染織経験などをお知らせください
以下のメールアドレスに 件名「腰機プロジェクト登録」と書いてお知らせください
事前登録された方には優先的にお知らせします。
事前登録が40名を超えました。ありがとうございます。申し込み順にお知らせします。(2020・11・25)
詳細は12月中には発表できるかと思います。今しばらくお待ち下さい。
現在諸事情1月発表が難しくなりました。ご了承ください。2020/12/16
タイムテーブル まだ詳細は未定です
◆1日目
10:00 集合
10:00~10:30 オリエンテーション
10:30~12:00 機の説明
13:00~ 整経
14:30 経て巻き
15:30 綜絖作り 5台
17:00 終了
18:00 ~20:30 懇親会 古布鑑賞
◆2日目
9:00 集合
9:00~10:30 織機の種類 レクチャー 何故いざり機?
10:30~12:00 織実習
13:00~17:00 織実習
18:00~ 温泉
◆3日目
9:00~10:00 自然布の未来
何故手織?何故草木染め 何故糸績みか
10:00~15:00 織実習
15:00~16:00 終了式
機台腰機とは
腰機は環太平洋に分布する織り機です。
経糸を自分の腰に固定して織ってゆくという、人体を機の一部として使う機です。そのため、手織りの息吹が感じられるとか、織り手の感触が伝わるとか言われますが、織物組織にも腰機特有のウェービングが現れます。そのため、高機には無い、布の風合いが現れます。しかし、人体を織り機の一部として使う故、安定した布を織ることは熟練が要ります。布耳を揃えることもむづかしいです。
多くの地域では原始機と云われる、フレームがない織り機が使われています。
だが、日本、中国、朝鮮半島では腰機にフレームを付け、経糸の安定を図り、開口操作を天秤装置を使うことで足に操作を分配し、より能率的に織物を作る工夫をしました。しかし、ここまで機を発展させたのにも関わらず、高機にない風合いを求めるため、あえて腰機の形式はやめませんでした。
天秤腰機の名称
天秤腰機と呼んでいるのは、前田亮著の手織り機の研究 日本編に依るのだが、天秤は開口装置(綜絖)を司る装置である。果たしてこの腰機の特徴を言い表しているのであろうか? どうも「機台付腰機」 の方がこの織り機の特徴をあらわしているような気がする。

米織会館 苧麻機
機台腰機
ここでは機台腰機とよんでいるが、昔はイザリ機と呼ばれたものである。「いざり」というのが差別用語であるとして、最近では「地機」じばたといっている。
私としては「地機」はGrand room 遊牧民が地面に杭を立て、経糸を張って織る
織機と混同するのであまり使いたくないと思っている。本当に「イザリ機」が差別用語なのか? 結城つむぎの産地では昔は「イザリ機」と呼んでいたというし、シナ布の里山北でも「イザリ機」といっていた。単に「ハタ」と呼んでいたこともあるようだ。 フレーム(機台)がある腰機としてフレームのない腰機と区別するために機台腰機と呼ぼうと思う
奄美大島でも機台腰機をいざり機と呼んでいたと最近聞き及んだ。奄美ではおそらくフレームが斜めの腰機ではないかと思われる。
腰機と高機の違い
高機は千巻(経糸を巻いてある筒もしくは板)から出る経糸を、綜絖装置、筬、緯糸を通す杼を使って織った布を手前の布巻き具に固定する。
この固定は織り機のフレームに付けられる。そのため経糸のテンションは一定となる。(開口によって テンションは少し変わる)
腰機は織り上げた布を腰に巻き付けることにより、経糸のテンション(張力)を変えることができる。開口するときはテンションを緩め、緯糸を打ち込むときはテンションを強くする。 このことによって、緯糸に対して経糸が波打つ。経糸と緯糸が同じようなテンションで布を構成する。同じ太さの糸ならば、横方向にも縦方向にも同じ張りがある布が織り上がる。

米織会館 苧麻機2
日本の機台腰機





